生物体を壮大な建物に例えるなら、細胞核はその建物の「中央文書館」または「指令本部」です。ここで生命の設計図が厳密に組織され、守られています。生物の形質——あなたの一重まぶた・二重まぶたであれ、果実の甘さ・酸っぱさであれ——は、すべてここに保存された指令によって制御されています。
中核となる指揮階層
- 染色体:細胞核内で塩基性染料に濃く染まる物質であり、遺伝物質の主要な担体です。
- DNA:主要な遺伝物質であり、独特の二重らせん構造(図7-12参照)。
- 遺伝子:遺伝的効果を持つDNA断片であり、生物の形質を制御する最小単位です。
指令から表現へ
細胞核を巨大な文書館、染色体をその中の巻物に例えてみましょう。巻物は紙(DNA)と軸(タンパク質)でできています。紙に書かれた特定の文章の段落こそが遺伝子です。生物の形質は無から生じるのではなく、遺伝子がタンパク質合成を指示した結果です。体細胞では染色体は対になって存在するため、遺伝子も対になって存在します。遺伝子が特別な手段(宇宙突然変異など)によって変化すると、生物の形質もそれに伴って変化します。
重要な区別:変異の本質
単に環境によって引き起こされた変異は、遺伝物質(遺伝子)に影響を及ぼさなければ子孫に遺伝しません。これを遺伝しない変異と呼びます。遺伝物質に変化が生じて初めて、その変異は世代を超えて伝わる可能性を持ちます。